効率的に優良顧客を見極めてリピーターコミュニティを構築する方法(RFM分析、5A)
目次
パレートの法則
売上の80%は、20%の優良顧客によって生み出されている。という「パレートの法則(80:20の法則)」があります。
非常に有名な法則ですが、実際に数値を見ている人でないと時間がないかもしれませんが、実際にお店の売上やECサイトでの売上構成を見てみると、このパレートの法則が当てはまっていると感じることが非常に多いです。
では、このパレートの法則があることを前提に更に売上を伸ばすためにはどのように考えるべきでしょうか?
今回は、効率的に売上を上げるためのコミュニティ形成の方法について紹介していきたいと思います。
効率的に売上を上げるにはどう考える?
80:20の法則を考えると、全ての顧客に対して同じサービスを提供しても「80%」が無駄になると考えることができます。
そこで限られた資源を使って効果的に売上を作るためには「20%」に絞ったサービスを提供することが最も効率的であると考えることができます。
80%の売上を生み出してくれる「20%の優良顧客」を囲い込み、更にこれから優良顧客になるであろう顧客を見極めて優良顧客化していくということが安定的で高い売上を生み出すために重要となります。
だけど、どうやって優良顧客を見極めるの?
優良顧客の重要性はわかったものの、どうやって誰が優良顧客なのかを見極めればよいのでしょうか?
そのためには「RFM分析」という手法で、顧客をランク付けすることが有効です。
RFM分析のやり方
R:Recency(最近の購入日)
F:Frequency(購入頻度)
M:Money(購入金額)
上記の3つの指標でポイントを割り振り顧客のランク付けを行っていきます。
RFM分析の例
まず各指標でしきい値を設けて、それぞれでのポイント設定を行います。
ポイント | 最近の購入日 | 購入頻度 | 購入金額 |
5 | 1週間以内 | 10回以上 | 100万円以上 |
4 | 1ヶ月以内 | 8~9回 | 50万円以上 |
3 | 3ヶ月以内 | 5~7回 | 25万円以上 |
2 | 1年以内 | 2~4 | 10万円以上 |
1 | 1年超 | 1回 | 10万円未満 |
このポイント設定を元に実際の顧客データからランク付けを実施します
顧客名 | 最近の購入日 | 購入頻度 | 購入金額 | スコア | ランク |
Aさん | 1週間以内 | 過去11回 | 120万円 | 15 | A |
Bさん | 1ヶ月以内 | 8回 | 56万円 | 12 | B |
Cさん | 3ヶ月以内 | 5回 | 26万円 | 9 | C |
Dさん | 1年以内 | 2回 | 13万円 | 6 | D |
Eさん | 1年半前 | 1回 | 5万円 | 3 | E |
この分類により、各顧客のランク付けができました。
「A > B > C > D > E」の順で優良顧客となっています。
Aに近いランクであるほど、手厚い対応を行うことで囲い込みを行い安定して高い売上を生み出すことができます。
ランクによる対応サービス例
ランク | 実施コミュニケーション | |||
電話での挨拶 | イベント招待 | クーポン配布 | メルマガ送付 | |
A | ● | ● | ● | ● |
B | ● | ● | ● | |
C | ● | ● | ||
D | ● | |||
E |
ランク分けをして、そのランクに応じてやることを分けることで
「やる必要がない作業を見極める」ことが可能になります。
その結果、優良な顧客に対してより効果的に資源を投じるためにも、ここまでの管理を行わなければなりません。
購入単価が決まっている場合は「RF分析」で施策を考える
商品単価が決まっていて購入金額が決まっているような場合には、「R:Recency(最近の購入日)」と「F:Frequency(購入頻度)」の2つの軸で分類分けを行い、その結果に応じた効果的な施策内容を考える。
A:頻繁に購入してくれている「優良顧客」。現状のポジションを維持してくれるように囲い込みのための手厚い施策を行う
B:最近顧客になってくれた新規の顧客を優良顧客に引き上げるべく、「購入頻度」を高める施策をうつべき
C:何度も購入してくれていたが最近は購入されなくなった人は、なんらかの事情により購入することができなくなったのかもしれない。理由も探りつつ再購入を促す。
D:最も引き上げが厳しいが、存在を忘れられている可能性があるので思い出してもらう施策をおこなう
優良顧客がさらなる優良顧客を生み出す
消費者の購買決定には、
「認知(Aware)」「訴求(Appeal)」「調査(Ask)」「行動(Act)」「推奨(Advocate)」
といった『5A』と呼ばれる購買プロセスがあります。
①認知(AWARE):他者から聞かされたり、広告を見たりすることで認知する。
②訴求(APPEAL):認知したブランドの中から、自分にとって好ましいブランドだけに引きつけられる。
③調査(ASK):ブランドについて詳しく評価や評判を調査します。
④行動(ACT):購買や来店をする。
⑤推奨(ADVOCATE):ブランドに対する強いロイヤルティが芽生え、SNSや友人に勧めて他社と共有する。
現代においてサービスの「供給」の方が多くなっているので、5Aの入口となる「認知」を獲得することが非常に難しくコストがかかる。
しかし5Aでの最後となる「推奨」にいくと、誰かにお勧めしてくれることになります。
知人や友人にオススメされることによって「認知」「訴求」のフローを省略することができるので、効率的に購入まで促すことが可能になります。
優良顧客となると「推奨」にいたる可能性が非常に高くなります。
つまり優良顧客に育てることで、次の優良顧客が生まれ、以降連鎖的に優良顧客が生まれる流れを作り出すことができます。
顧客の行動データからランク分けを行い、そのランクに応じた顧客対応を行うことで無駄なく効果的な対応を取ることができます。
この分析を可能にするためにも自身の顧客のデータは分析可能な形で収集し整理しておくことで、効果的な戦略を練ることが可能になります。